原付二種とは?一種との違いや免許の取得方法、必要な費用などを解説!
原動機付自転車、通称「原付」は時速30kmまでしか出すことができない、というイメージを持っている人も多くいますが、実は時速60kmまで出すことのできる「原付二種」という区分があります。
原付二種は、原付の扱いやすいサイズ感はそのままに、一般道で普通自動車や普通二輪車と同じスピードで走行できるなどの理由から、通勤や通学の手段として高い人気があります。
本記事では、原付二種についての概要や、原付二種に乗るために必要な小型限定普通二輪免許/AT小型限定普通二輪免許の取得方法を解説します。
原付二種とは?
原付二種とは、排気量が50ccを超え125cc以下のエンジンを搭載したバイク、または、モーターの定格出力が0.6kWを超え1.0kW以下の電動バイクのことを指します。変速を運転者が行うMT(マニュアル)のバイクと、自動で変速するAT(オートマチック)のバイクの2種類があります。
原付二種のバイクに乗るには、「小型限定普通二輪免許」もしくは「AT小型限定普通二輪免許」が必要です。AT小型限定普通免許はAT(オートマチック)のバイク、小型限定普通免許はAT(オートマチック)とMT(マニュアル)の両方のバイクに乗ることができます。
また、普通二輪免許や大型二輪免許を保有している場合も、原付二種のバイクに乗ることが可能です。
原付と名前がついているものの、原付免許や普通自動車免許に付帯している原付免許では、原付二種のバイクを運転することはできないため、注意してください。
なお、原付二種のナンバープレートは、排気量が50ccを超え90cc以下であれば黄色、90ccを超え125cc以下であればピンクです。
原付一種と二種の違い
原付一種バイク | 原付二種バイク | 中型~大型バイク | |
---|---|---|---|
法定速度(一般道) | 時速30km | 時速60km | 時速60km |
二人乗り | 不可 | 可 | 可 |
二段階右折 | 必要 | 不要 | 不要 |
高速道路の走行 | 不可 | 不可 | 可 |
車体価格 | 安い | 中 | 高い |
維持費 | 非常に安い | 安い | 高い |
エンジン排気量50cc以下の原付一種(いわゆる原付)と、原付二種のバイクの大きな違いは法定速度です。原付一種の法定速度が時速30kmなのに対し、原付二種は時速60kmとなっています。
また、原付二種では、排気量やモーターの定格出力のほかにも、フレームやブレーキ、サスペンションなどが強化されており、免許の取得から1年以上経っていれば二人乗りも可能です。
原付一種で必要な交差点での二段階右折も原付二種は不要で、原付通行禁止の標識がある道路でも、原付二種は通行可能です。
ただし、原付一種と同様に、高速道路は原付二種でも走行できません。
さらに、原付二種は中型~大型バイクに比べて維持費が安いのも特徴です。軽自動車税は、排気量50ccを超え90cc以下(黄色ナンバー)であれば、原付一種と同じ年間2,000円、90ccを超え125cc以下(ピンクナンバー)であれば、年間2,400円です。
125ccを超えるバイクにかかる自動車重量税も、原付二種であれば課税されません。
ただし、車体価格は一般的に原付二種のほうが高く、原付一種であれば新車で十数万円から購入できますが、原付二種の価格は約20万円からとなっていることが多いです。
なお、三井ダイレクト損保の自動車保険にご加入いただいている方は、原付二種も補償対象の「ファミリーバイク特約」を任意でセットできます。
ファミリーバイク特約についての詳細はこちら
https://www.mitsui-direct.co.jp/car/compensation/other/bike/
- 上記は監修者の知見による料金相場です。料金相場は今後販売される車種によって変更となる可能性もありますので、車体価格は目安として参考にしてください。
バイクの運転免許証の種類・区分の一覧
バイクの免許の種類・区分、運転できるバイクの種類は、下表のとおりです。
バイクの排気量と免許の種類
バイクの排気量 | 50cc以下 | 50cc超 125cc以下 | 125cc超 400cc以下 | 400cc超 | |||
---|---|---|---|---|---|---|---|
免許の種類 | AT | MT | AT | MT | AT | MT | |
原付免許 | 〇 | ||||||
小型限定普通二輪免許 | 〇 | 〇 | 〇 | ||||
AT小型限定普通二輪免許 | 〇 | 〇 | |||||
普通二輪免許 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||
AT限定普通二輪免許 | 〇 | 〇 | 〇 | ||||
大型二輪免許 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
AT限定大型二輪免許 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
小型限定普通二輪免許/AT小型限定普通二輪免許の受験条件
原付二種のバイクに乗るのに必要な小型限定普通二輪免許/AT小型限定普通二輪免許の試験は、満16歳以上であれば受験できます。
ただし、過去に初心取消を除く免許の取消処分などを受けている場合は、欠格期間が経過したうえで、受験前の1年以内に取消処分者講習を受講している必要があります。
適性検査では視力検査、聴力検査などが行われます。視力検査の合格基準は、両眼で0.7以上、かつ片眼でそれぞれ0.3以上です。裸眼で規定の視力を満たせない場合は、メガネやコンタクトレンズなどを着用しましょう。
小型限定普通二輪免許/AT小型限定普通二輪免許の取得方法と必要な費用
小型限定普通二輪免許/AT小型限定普通二輪免許を取得するには、運転免許試験場で適性検査・学科試験・技能試験に合格する必要があります。
公安委員会指定の自動車教習所で原付二種の卒業検定に合格している場合は、運転免許試験場での技能試験が免除され、適性検査と学科試験のみに合格すれば取得できます。
なお、普通自動車免許などの四輪免許をすでに所持している場合は、運転免許試験場での学科試験が免除されます。そのため、普通自動車免許を所持している人が教習所で原付二種の卒業検定に合格している場合、運転免許試験場では適性検査のみを受けることになります。
小型限定普通二輪免許/AT小型限定普通二輪免許の取得までの流れ
運転免許試験場で直接受験する場合
教習所に通わず運転免許試験場で直接受験する場合、適性検査、学科試験、技能試験に一度で合格すれば、その日のうちに小型限定普通二輪免許/AT小型限定普通二輪免許の取得が可能です。
学科試験では、正しい交通ルールやマナーについての問題が出題され、95問中90%以上の正答率で合格となります。
技能試験では、クランクやS字カーブ、一本橋などのあるコースを走行し、100点の持ち点からの減点方式で採点が行われ、70点以上の成績で合格となります。
その後、取得時講習と応急救護講習を受けると、運転免許証が交付されます。
試験1回あたりの費用は、受験料が2,600円、試験車使用料が1,450円です。加えて、試験に合格した際には免許証交付手数料が2,050円、取得時講習料が12,000円、応急救護処置講習料が4,200円かかります。
したがって、一度で合格すれば合計22,300円で小型限定普通二輪免許/AT小型限定普通二輪免許を取得でき、原付二種に乗ることができます。
教習所に通う場合
教習所に通う場合、学科教習と技能教習を受講し、卒業検定を合格すれば教習は修了です。その後、運転免許試験場で適性検査と学科試験を受ければ、運転免許証が交付されます。
なお、2018年の道路交通法施行規則の改正により、普通自動車免許などを所持している場合は、AT車限定の小型限定普通二輪免許の教習が、最短2日間で修了可能になりました。
学科教習は2段階制で、交通法規や運転マナーなどを学びます。普通自動車免許などを所持している場合、学科教習は1時間のみです。学科教習が修了したあとは、理解度を測る効果測定という試験を受けます。
技能教習では、教習所のコースで実際にバイクを運転します。技能教習も2段階制で、1段階目に“走る・曲がる・止まる”といった基本操作の練習を行い、2段階目に交通法規に従った正しい走行と、危険を予測した運転の練習を行います。
教習所での教習時間
普通自動車免許の有無と種類 | 学科教習時間 | 技能教習時間 | |
---|---|---|---|
普通自動車免許 なしの場合※ | 小型限定普通二輪免許 | 26時間 | 12時間 |
AT小型限定普通二輪免許 | 26時間 | 9時間 | |
普通自動車免許 ありの場合 | 小型限定普通二輪免許 | 1時間 | 10時間 |
AT小型限定普通二輪免許 | 1時間 | 8時間 |
- 原付免許および小型特殊免許も同様
卒業検定では、試験官の立会いのもと技能試験を受けます。教習所内の検定コースを運転する試験で、100点の持ち点からの減点方式です。70点以上を維持すれば合格となります。
免許取得までの日数は、運転免許試験場での学科試験を含めて最短3日ですが、教習所の入所手続きが必要となるため、実際には1週間~2週間程度かかることが想定されます。
教習所の費用は数万円~十数万円で、教習所や受講する教習時間によって異なります。申込みの際に、教習所のホームページや電話で問い合わせて費用を確認してください。
教習所を卒業した場合、運転免許試験場での受験料で1,750円、免許証交付手数料で2,050円、合計3,800円の費用がかかります。
まとめ
原付二種は原付一種と異なり、法定速度が時速60kmまで上がるため、普通自動車と同じ速度で走行できることに加え、二段階右折の義務もなくなるなど、利便性が大きく向上します。
しかし、原付一種よりもスピードが出る分、交通事故が発生した際の被害も大きくなってしまいます。バイクに乗る際には、万一の事故に備えて適切な服装や装備を着用し、安全運転を心がけて走行しましょう。
- 本記事の内容は、2021年6月時点での原付二種、小型限定普通二輪免許/AT小型限定普通二輪免許取得の解説です。教習所や運転免許試験場にて異なる内容の指示を受けた場合は、実際の指示に従い、対応を行ってください。
記事監修者:鈴木 ケンイチ(すずき けんいち)
日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員
大学卒業後、雑誌編集者を経て独立。自動車専門誌を中心に一般誌やインターネット媒体などで執筆活動を行う。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。レース出場経験あり。
情報もっと:
https://www.mitsui-direct.co.jp/car/guide/mycar_guide/new/twotypes-of-bike